株式会社パル(以下、パル)は、全国で自社ブランドを展開する総合アパレル企業です。同社が運営するファッション・雑貨を中心とした公式オンラインストア「PAL CLOSET(パルクローゼット)」では、GMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下、GMO-PG)のPGマルチペイメントサービスを採用。“令和の商店街”のような身近なECサイトの実現を目指すパルのEC戦略について伺いました。(社名・役職等は2024年3月時点)
キーメッセージに「PASSIONとLOVE」を掲げるパルは、<GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)>・<Kastane(カスタネ)>といったファッションブランド や、ライフスタイル雑貨の<3COINS(3コインズ)>などの店舗を全国に展開しています。
パルグループにおける幅広いジャンルの取り扱いアイテムは、2010年頃からECサイトでの販売を開始。2016年に現在の公式オンラインストアPAL CLOSET(パルクローゼット)としてリニューアルオープンしました。
現在、PAL CLOSET(パルクローゼット)は50以上ものブランドを擁し、2023年の売上は200億円に達します 。パルグループの様々なブランドを買い回りできる利便性に加え、アプリを活用した送客施策やスタッフのSNS発信が功を奏し、自社ECの売上は2016年以降伸長し続けています。
パルのWEB・プロモーション戦略を担うのが、専務執行役員でプロモーション推進部部長の堀田 覚氏です。同社がGMO-PGの総合オンライン決済サービス「PGマルチペイメントサービス」を採用したのは2016年のこと。
オンラインの販路として利用していたモール型ECサイトから、自社サイトにEC販売の主軸を切り替えるにあたり、様々な検討を経て決済代行サービスを導入しました。
専務執行役員/プロモーション推進部部長/WEB事業推進室室長/コミュニケーションデザイン室室長 堀田 覚氏
「現在パルでは、以前からある一部の決済手段を除きGMO-PGとの包括契約が基本です。
自社に決済代行という仕組みを導入したことで
一番助かっているのは、複数の決済方法がPGマルチペイメントサービスに集約されていること。
それまでは決済会社ごとに異なる契約書面や決まりごと・入金サイクルなど一つひとつに悩まされていました。それぞれの方法に都度対応しなければならず、例えば入金タイミングも月に何回も発生するといった経理関係の業務が煩雑になってしまうという苦い思い出もありました。
しかし、GMO-PGの決済代行システムであればまとめて処理を進められるほか、新たな決済手段の導入から売上管理業務に関する内容まで問い合わせ窓口が一本化されていて非常にスムーズで効率的。
何か質問やトラブルがあっても、どこに連絡すればいいかが明確になっているのはありがたいですね」(堀田氏)
「PAL CLOSET(パルクローゼット)における日々の取引量は膨大です。そんなECサイトの決済をPGマルチペイメントサービスでお支えしているほか、
返金対応にもGMO-PG送金サービスをご利用いただくなど、
弊社サービスによりバックオフィス業務でもかなり効率化できていると思います。」と語るのはGMO-PGの営業 二口達也。
「お客様の決済を行うEC事業だけでなく、社内業務の改善にも役立っているという実感がありますね。
取引金額の消込や売掛金の管理などの事務作業によって日々の人的コストが膨らむことは、企業にとって望ましいことではありません。PGマルチペイメントサービスの導入が、社内の関連業務軽減にも貢献していることは、今後EC事業を継続成長させていく上で非常に大きな要素になってくるでしょう」(堀田氏)
2023年10月から2024年2月にかけてPAL CLOSET(パルクローゼット)では、d払い・メルペイ・auPAYという3つの決済手段を追加しました。
「新たな決済手段の導入を検討したきっかけの一つは、お客様からのご要望でした。加えて社会全体でQRコード系の決済が浸透してきたことで、マーケット全体が変化していると感じていたこともあります」(堀田氏)
新たな決済手段の追加には、実装後のユーザビリティの向上や新規顧客の獲得といったポジティブな面がある反面、決済手段ごとの開発やリリース前のテスト工程などコスト・工数ともに負荷がかかるもの。その点においてもGMO-PGの伴走が頼りになった、と堀田氏はいいます。
「決済手段追加にあたり、各決済事業者様からのご提案をGMO-PGも交えて検討していきました。
新規の事業者様とやりとりする際はコミュニケーションコストが高くつくもの。そこをパルのビジネスや決済を理解しているGMO-PGの担当者の方を窓口とすることで要件定義から非常にスムーズに進めることができました」(堀田氏)
PAL CLOSET(パルクローゼット)では、d払い決済の追加時からPGマルチペイメントサービスのOpenAPIタイプによる接続で開発を進めました。
PGマルチペイメントサービスでは、
国際規格に準じた技術仕様で開発されたOpenAPIタイプという接続方式をご用意、
エンドユーザーニーズの高い12種21ブランドの決済手段に対応しています。
OpenAPIタイプの大きな特徴は、
各決済手段をPay払い・クレジットカード払い・現金払いの3つにグルーピングしていること。
グループごとに共通したインターフェイスでまとめることができるため、
グループが同一の決済手段については
追加・改修における負荷の軽減を実現し、不正検知への対応も柔軟に行えるよう最適化されています。
「決済手段の追加や実装そのものに対する負荷は理解しているものの懸念はあまりありませんでした。
検討の際に、Pay払い系の決済手段を採用するのであればとご提案いただいたのがOpenAPIタイプ。
この接続方式であればPay払い系の決済手段のAPI方式が統一されているため、d払い以降のメルペイ・auPAYの追加や改修負荷も少なくなります。
迷うことなくOpenAPIタイプの採用を選択しましたね」(堀田氏)
「加盟店様によっては決済手段追加の検討・要件定義から実装まで、長い場合は1年程度を要するケースもあります。OpenAPIタイプを採用いただいたことで、PAL CLOSET(パルクローゼット)における決済手段の追加は数ヶ月という通常よりも早いスピードで実現しています。
今後起こりうるバージョンアップやメンテナンスなど運用面で対応しなければならない場合にも実務上でのメリットは大きいと思います」と、GMO-PGの営業 小川 大輔はいいます。
リリースにあたりお客様に安心してご利用いただくため、テスト工数を削減することはできないという堀田氏。
「例えばパルではアプリの活用を積極的に進めていますので、アプリ側でもしっかりテストを行うことが不可欠でした。
開発部分というのは表立って話題になりにくい部分ではありますが、負荷のかかる決済手段追加において開発工数を減らし、業務効率を向上させられることは確実に会社にとってプラスになります。今回、決済手段追加の際には、社内業務の増加やシステム負担が生じない前提で実装を進めていました。
どんなに要件定義書を読み込んでいても、テストをしても、イレギュラーなことが発生する場合があります。そうした際にGMO-PGが窓口となってくれている頼もしさがありますね。今後さらに決済手段を追加していく場合にも、この形で進めていきたいと考えています」(堀田氏)
物販・小売などのECサイトで、各種のPay系決済を追加する加盟店が増えてきているといいます。
「最近ではOpenAPIタイプによる接続を前提とした上でのご相談が増えてきました。一つひとつの決済手段を個別に開発する必要があった従来の方法と異なり、パル様同様に、
複数のPay系決済手段を並行してご検討・導入開発いただくケースも増えており、
加盟店様のニーズにかなった接続方式であると実感しています」(小川)
「そのなかでも今回のパル様における決済手段追加は、複数の決済手段の検討を並行して進めた先行事例となりました。パル様からのご要望に応えつつ、GMO-PG内でサービス・機能改善も行っていきました」(二口)
現在のPAL CLOSET(パルクローゼット)のメイン顧客層は20代・30代・40代の女性が中心。
「20代・30代・40代のお客様の構成比率はほぼ同じです。年代別の人口分布から考えて20代の女性の支持も厚いといえるでしょう」(堀田氏)
堀田氏はパル社内のEC事業のほか、各ブランドのプロモーション・デジタルマーケティング・CRM(顧客データ活用)まで幅広く担当しています。スタッフによる活発なSNS発信やアプリ活用の推進など、全社一丸で取り組むべきEC戦略やOMO戦略を牽引してきました。
「新たな決済手段の追加で、それぞれの決済手段が持つ新規のユーザー様にリーチできればいいとは思っていますが、すぐに実現するとはあまり考えていません。今後の新規ユーザー獲得はもちろんですが、これを機に収集できるデータの数が増えるのも嬉しいこと。
ECビジネスの難しいところは、お客様の顔が見えないことです。実店舗とは異なり、お客様がどんな商品を求めていてなぜ購入しているのか、といった情報を直接は聞くことができません。私たちとしてはデータをもとに顧客動向を判断するしかないため、データの活用は非常に重要です。今でも売上推移を中心に各種データをチェックしていますが、今後はさらに活用し、お客様の要望についての解像度を上げ、各ブランドの戦略にプラスになれば、と考えています」(堀田氏)
PAL CLOSET(パルクローゼット)を含むパルのECビジネスは継続して売上を伸長しています。ECビジネスの成長は引き続き核となる戦略とし、5年後には1,000億円のEC売上を目指しています。
「PAL CLOSET(パルクローゼット)はまるで商店街のような、お客様にとって身近な存在であり続けたいと考えています。ECサイトの売上が伸び続けているのは、SNSを活用した発信や複数ブランドを買い回りしてくださるお客様が増えてきたことも功を奏しています。
まずは、各ブランドを入口としてPAL CLOSET(パルクローゼット)を利用していただき、その上でPAL CLOSET(パルクローゼット)のファン化が進めば嬉しいですね」(堀田氏)
パルの掲げる「PASSIONとLOVE」。実店舗と同様、お客様と各ブランドのスタッフが一緒になってECサイトを作り、盛りあげることで“令和の商店街”を実現していきたいという堀田氏。
「PAL CLOSET(パルクローゼット)のような自社ブランドが集まっている自社ECモール型のサイトは、企業の人格とイコールだともいえます。ECサイト内でブランドという枠を越えてお客様の買い回りが増えているのは、パルのコンセプトや在り方に関心を持っていただけるようになってきているからではないでしょうか」(堀田氏)
現在、パルのECサイト経由の売上比率はオフラインチャネルを含むファッション(衣料品)の売上に対し、39.4%※と、 同業他社と比較しても高いEC化率を誇ります。その秘訣はどこにあるのでしょうか。
※株式会社パルグループホールディングス2024年2月期第2四半期資料より
「会社の今後の成長のために重要なことは“成長市場であるECを伸ばさないといけない”と正しく認識することです。もちろん、全社売上に対するEC比率が伸びていることには複数の要因があります。しかし、まずはしっかりと現状を把握することが大切です」と堀田氏。
現在のPAL CLOSET(パルクローゼット)以前となる2015年時点でのパルのEC比率は、ファッション部門で4%ほど。同業他社と比較しても低いものであると認識し、当面の目標をEC比率10%に定め、どうしたらもっとお客様に利用してもらえるかを考えたと言います。
「PAL CLOSET(パルクローゼット)の強みは、パルグループの複数のブランドを取り扱っていることでした。お客様の入口となっているのは各ブランド。まずは一つひとつのブランドをECで伸ばすことにひたすら注力し、成功事例を作ろうと考えました。
一つの成功事例が生まれれば、それを再現性の高い形でほかのブランドにスピーディに展開していくことができます。そうすることで、ブランド内でもデータ分析やコミュニケーションを通じたPDCAサイクルをずっと回し続けることができるようになっていきました」(堀田氏)
PAL CLOSET(パルクローゼット)で抱えるブランドは50以上。小さなPDCAを回しながら各ブランドの担当者たちの努力と創意工夫によりここまでのEC事業の拡大が達成できたといいます。
「あくまでも私たちの部門は、データの分析結果と方向性の示唆を伝えるだけに留めることが重要だと思っています。
各ブランドが私たちから受け取った成功事例のモデルをもとに、それぞれの形に落とし込んでいきますから。私たちの部門では、それぞれのブランドが使いやすいプラットフォームの用意を行い、その上で各ブランドの担当者たちが独自のカラーを表現していく。このように個々のブランドが能動的に動くような体制になっていなければECサイト自体は伸びません。
PDCAサイクルをすぐに回す今のスタイルも、PGマルチペイメントサービスを導入し社内業務の効率化ができたからこそ成立しています。今後もGMO-PGとパートナーシップを続けながら、お客様・ブランドと一緒にPAL CLOSET(パルクローゼット)を創りあげていきたいですね」(堀田氏)
|
株式会社パル カジュアルからタウンまで多彩なスタイルのファッション(衣料品)やファッション雑貨のほか、<3コインズ>に代表されるライフスタイル雑貨まで、全国に自社ブランドを展開する総合ファッション企業。 |
|
PAL CLOSET(パルクローゼット) 公式オンラインストア「PAL CLOSET(パルクローゼット)」では、パルグループの50以上のブランドをラインナップ。アプリとの連動による利便性に加えスタッフによるSNS施策などとの連携により継続したEC売上伸長を実現しています。 |
総合オンライン決済代行サービス PGマルチペイメントサービスについてはこちらから
PGマルチペイメントサービス「OpenAPIタイプ」についてはこちらから