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東京都水道局と取り組むキャッシュレス化。業務改善と都民の利便性を高めた成果とは

作成者: GMOペイメントゲートウェイ|2024. 09. 03


東京都民約1,370万人に水道サービスを届ける東京都水道局。

2022年10月に水道に関するサービスを一元的に利用できる「東京都水道局アプリ」をリリースしました。アプリにはGMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)の「PGマルチペイメントサービス」を導入し、都民のキャッシュレス化も推進しています。

全国でも水道サービスDX化の先駆けとして注目されているという「東京都水道局アプリ」の企画・開発秘話。そして、「PGマルチペイメントサービス」導入により、どのような定量的・定性的成果を得られたのか。東京都水道局サービス推進部管理課 サービス戦略事業担当の菊地 泰介氏・三森 恭平氏にお話を伺いました。
(役職等は2024年8月時点)

 

東京都水道局アプリのプロジェクトは、東京都のDX化(デジタル・トランスフォーメーション)を中心とした構造改革戦略「シン・トセイ」の一つとして動き出したプロジェクトです。

これまで東京都水道局にはWeb上のサービスとして、
水道の使用開始や中止の手続きが可能な「インターネット受付」と、
お客さま自身が水道の使用量を把握できる「東京水道マイネット」の2つが存在していました。
しかし、これらのサービスには都民・職員双方にとって改善するべき部分もあったといいます。

例えば、「東京水道マイネット」では、ログインパスワードをWeb上で発行することができず、後日郵送で届くはがきに記載のパスワードを受け取らなければログインできない仕様でした。その他にも、「もっとWeb上で可能な手続きの数を増やしてほしい」という都民の声が多数寄せられていました。

「世の中の技術はどんどん進歩しています。お客さまも多様化し、生まれながらにしてスマートフォンを触ってきた方々が新規のお客さまになっています。公共インフラの“あるべき姿”として、DX化に真剣に向き合わなければと感じていました」と語るのは、東京都水道局サービス推進部管理課 課長代理(サービス戦略事業担当)の菊地 泰介氏。

東京都水道局サービス推進部管理課 課長代理(サービス戦略事業担当) 菊地 泰介氏

こうした課題を受け、2022年10月に「東京都水道局アプリ」をリリースしました。リリースから2年弱が経った現在、アプリ利用者は増加を続け、都民の水道手続きと決済をスムーズにつないでいます。

同課 サービス戦略事業担当の三森 恭平氏は、アプリに寄せられた評価について
「2024年8月現在、App Storeでは星4.5、Google Playでは星4.3の評価を獲得しています。
使用水量の確認や各種手続きを全部アプリで完結できるのは嬉しい』『UIもいい感じで見やすい。開発者の方、ありがとうございます』などの大変嬉しいお言葉もいただいています」と語り笑顔を見せました。

水道という公共インフラである以上は、幅広い層の都民の方が利用できるようにする必要があります。東京都水道局では同等の機能をWeb版でも提供、「スマートフォンアプリは馴染みがない」「スマートフォンのアプリは入れたくない」という方にもご利用いただける環境を用意しています。

 

アプリ開発に踏み切る以前、東京都水道局ではどのような課題が顕在化していたのでしょうか。課題をさらに深掘りし、「都民目線」と「職員目線」に分けて伺いました。

「お客さまである都民目線として解決したかった部分が、サービスのアップデート化とスマート化です。都民の皆様の水道に関する手続きや情報確認・支払いをスマートにしていきたいという想いがありました。

具体的には、各手続きのオンライン化・ペーパーレス化と、支払いのキャッシュレス化対応。また情報発信を昨今の技術発展の流れのなかでより分かりやすく伝わりやすくし、お客さまの利便性と満足度を高めることを目指しました」(三森氏)

東京都水道局サービス推進部管理課 サービス戦略事業担当 三森 恭平氏

組織内での課題は、業務の効率化でした。
東京都水道局では、年間400万件もの受付事務を処理していたのですが、その膨大な件数をアナログな手法も用いながら確認していたんですね。東京都では水道を利用されるお客さまは2030年にピークを迎えるという試算もありますが、高齢化の中で職員も減少してきています。
現場の負担が増加し続ける中でこのまま非効率な業務を続けていると、近い将来同じ水道料金ではサービスの品質を保てなくなるのではないかという危機感も感じていました。

東京都ではスマートメータの全面的な導入も予定しています。これにより検針員が訪問して使用水量を確認するなどの業務もなくなります。大きく仕事の流れが変わることもあり、システムを含めた全体的な内部の見直しを行うタイミングでアプリの構想がスタートしました」(菊地氏)

 

こうした背景のなかで「東京都水道局アプリ」の構想は進められていきました。都民には多様なITリテラシーの方々が混在しています。誰もが迷わず使いやすいアプリを作るには、要件設計がカギを握っていました。

「まずはじめに、水道局アプリの理念として『水道に関するサービスを一体的に提供できるプラットフォームを作りたい』という考えがありました。従来にも、水道の開始手続きを行いたい場合は東京都水道局のホームページから申し込める流れを作っていました。しかし、クレジットカード払いを申し込みたい場合は、また別のシステムから登録しなければならずこれらの統合ができていませんでした。これでは快適なユーザー体験とは言い切れませんので、この壁を越えたい気持ちが強かったですね」(三森氏)

そこで、新しいアプリではどんな基本機能を軸にするべきか協議を重ね、
・申込機能
・支払機能
・照会機能
・通知機能 の4つに絞ることに。

「補足的な機能として、災害時に役立つ機能も実装しました。具体的には、都内に約200か所ある、災害時に断水した際に水を配る施設『災害時給水ステーション(給水拠点)』の位置・開設情報をアプリ内で確認できるというものです。
給水は災害時に命に関わる重要なインフラです。実際の災害発生時に『どこに行けば水が手に入るのか』を確認可能とすることで、都民の命を守ります」(三森氏)

GMO-PGは支払機能に関して、クレジットカード払いとPay系決済(スマートフォン決済)の統合的な実装に貢献しました。多くのお客さまにアプリの支払機能をお使いいただくことは紙の請求書の削減にもつながるため、ペーパーレス化にも寄与しています。 

「当初はクレジットカード払いと数種のPay系決済でリリースしました。以降も水道局様のリクエストや弊社からのご提案などを通じ決済手段を追加し、さらなる利便性と満足度の追求を行っています」と語るのはGMO-PGで東京都水道局を担当する外池 竜史。

GMO-PG 外池 竜史

「東京都水道局アプリ」は都民の立場に立ったものであるために、都民の生の声を反映しながらアジャイル的に改善し続けていくことを前提に開発されたといいます。

開発時は多くの都民をテストユーザーとして招き、その意見に耳を傾けてきました。

アプリに求めたことは『直感的な分かりやすさ』。だからこそ、都民の声を聞きながら開発することを心がけました。具体的には、開発段階で3回ほど都民の方にユーザーテストにご参加いただきました。延べ100名以上の方からいただいた、操作の流れや文言・全体のレイアウトなどの率直なご意見を開発に反映させてリリースしました」(三森氏)

アプリリリース後もさまざまなご意見がメールや電話・レビュー(口コミ)から届いたといいます。リリース当初、アプリストアの評価は星2ほどでしたが、手厳しいご意見にも真摯に向き合い細かな改善・追加実装を続けてきました

菊地氏・三森氏によれば、リリース後の改善の回数は大小あわせ100回を優に超えるとのこと。

現在も、毎日職員が口コミやメールで来るご意見に目を通しているそうで、その誠実な姿勢はアプリストアの口コミに丁寧にコメントを返している姿からも垣間見ることができます。

「民間企業でもここまで丁寧に対応できている組織はそう多くはないと思います。いただいたお声に応えることにより、現在の評価につながっているのではないでしょうか」(GMO-PG 外池)


(左から)東京都水道局 三森氏・菊地氏、GMO-PG 外池

 

本アプリの企画提案に対する審査により、「PGマルチペイメントサービス」を有するGMO-PGが採択されました。GMO-PGはアプリ開発時から「PGマルチペイメントサービス」を通じた決済機能の導入ご支援、リリース後には保守・運用を担っています

「PGマルチペイメントサービス」は、クレジットカード払いや各種Pay決済といった豊富なオンライン決済手段を取りまとめて提供する決済代行サービス。これまでに民間企業のEC・通販事業者だけでなく、NHKや国税庁などの公的機関も含む15万店舗以上に導入実績があります。

幅広い業種・業界で採用されている「PGマルチペイメントサービス」の特長は決済手段の豊富さ・加盟店数だけではありません。各業界に精通した専門性の高い営業チームによる手厚いサポートや、クレジット業界のグローバルセキュリティ基準PCI DSS Ver3.2.1に完全準拠する高稼働率のセキュアなシステムも魅力

そんな特長をもつ「PGマルチペイメントサービス」について、東京都水道局ではどのような点に惹かれ導入を決めたのでしょうか。

「まず一番に魅力を感じたのは、GMO-PGがすでに他の地方自治体や公的サービスへの導入実績が豊富だった点。そしてガス・電気といったインフラ企業への実績が多かったことも大きいですね。

公的サービスや地方自治体は仕様やニーズが民間企業とも異なり特殊な要件も多いと思います。そうした導入先にも評価されているGMO-PGは、やはり信頼のおけるパートナーだなという所感はありました。とはいえ企画提案ですので、各社サービスの特長と価格面含めて総合的に判断しました」(菊地氏)

どれだけ優れている決済システムであっても、導入先の既存システムにセキュリティを担保しながら組み込めなければ導入は叶いません。決済手続きに“失敗が許されない公的サービスだからこそ”慎重に選定していく必要があったと菊地氏は語ります。

「民間企業でももちろん大事ですが、より一層、公的サービスでの決済のミスは許されません。当たり前のことなのですが、大切なお金が絡む部分に絶対に不備があってはならないだからこそ信頼のおける決済システムであることが重要です。
先に決定していたアプリ開発ベンダーのシステムにも安全性を保ちながら組み込めること、さらに今後の決済手段の拡充など足並みを揃えてやっていけるというところにも信頼を寄せていました。またGMO-PGは高いセキュリティレベルを保ち続けており、それを客観的な成果としても示されていました」(菊地氏)

PGマルチペイメントサービスの強みの一つがセキュリティの高さです。豊富な実績とともにこの点もしっかりと評価していただけて嬉しいです」(GMO-PG 外池)

決済手段の選定要因には、第一に幅広い都民の方にご利用いただくことが挙げられるというGMO-PGの外池。

「開発時はクレジットカード払いのほか、シェア率などをもとにPay系決済手段を選定していきました。そこから、まさしく本アプリのコンセプトでもある“アップデート”という観点でリリース後に弊社からもご提案をさせていただき、現在は6つのPay系決済手段をご利用いただけるようにしています」(GMO-PG 外池)

 

 

「東京都水道局アプリ」は、公共インフラ系DXの先駆けとして全国から注目されています。DXの好例として他の自治体からの問い合わせも多いといいます。
さらに東京都庁内の優れたデジタル活用の取り組みを表彰する「都庁DXアワード2023」ではデジタル10か条賞を受賞。全19局26件のエントリーの中から、徹底したユーザー目線のアプリとして評価されました。

アプリユーザー数の伸びを見ても、その支持は明らか。

「利用者数は2024年6月末時点で167万ユーザーです。当初の目標が2025年度末時点で100万ユーザーだったので、だいぶ上回っていることになります。100万ユーザーは2023年7月には既に達成していました。リリース当初の2~3か月で一気にユーザー数が増え、現在でも毎月5万ほどコンスタントに増え続けています」(三森氏)

組織内の業務改善という点についても大幅な削減効果がありました。

新規の水道開始申し込みの処理スピードが改善しました。従来にはなかった自動で基幹システムにデータ転送する仕組みによって、1件あたり1.3分の処理時間短縮に成功
2023年度のアプリからの水道の開始申し込み件数は年間で約28万件ですので、計約6,000時間の時間短縮効果を得られたことになります」(三森氏)


「ペーパーレス化という観点でも、2024年3月末時点でアプリユーザーの97%が検針票を電子で受け取ると選択。リリース後の1年半で累計900万枚以上の検針票を電子化させることに成功しています。
今後、電子から紙に戻すユーザーは少ないと考えると、半永続的な電子化を成し遂げたことになります」(三森氏)

このように、都民の水道手続きのDX化は明確に数字の変化として表されています。「PGマルチペイメントサービス」によって統合された決済システムのDX化も定量的な成果が見て取れます。

キャッシュレス化に関しても大きな成果がでていますクレジットカード払いの申し込み件数が大幅に増加しており、アプリリリース以前の2021年度とリリース後の2023年度を比べるとプラス50%ほど伸びています。
クレジットカード払い・Pay系決済・口座振替払いをあわせた水道料金支払いのキャッシュレス比率は2024年3月時点で約80%となっています。水道料金のキャッシュレス化は潜在的にニーズが高かったことが伺い知れます」(三森氏)

 

公的サービスのDX化という複雑で繊細な課題を見事に解決し、都民の暮らしを前進させた東京都水道局。最後に「東京都水道局アプリ」の決済システムを構築した「PGマルチペイメントサービス」とGMO-PGに対して嬉しいお言葉を述べてくださいました。

GMO-PGは率直に信頼しています。決して取材されているからお話するわけではなく、人材がとても素晴らしい会社だなと思いますね。

以前、新たな決済手段を追加実装しようとした時も、双方で契約内容に対する認識の齟齬がありました。お互いに契約を交わした当時の担当者は既に不在で、最初は困ったな、と思っていたのですが、外池さんが誠実かつ粘り強く一つひとつ事実確認を行い、何度も交渉の場をもってくださったおかげで双方が納得する契約内容に着地することができました。何度も交渉を繰り返していた当時はお互い大変でしたが、この件でむしろ信頼関係が厚くなった気がします。外池さんは営業担当ですが、術に関しても日々勉強をされていてとても好感をもっています」(菊地氏)

「外池さんと一番やりとりをさせていただいているのは私だと思うのですが、アプリの改善には各所に連携が必要で気苦労がつきものです。でも、外池さんは率先して案件のリーダーシップを取ってくださる。これからの困難も一緒に乗り越えられる気がしますね」(三森氏)

都民目線の便利なアプリを保ち続けるために、GMO-PGも一丸となって「東京都水道局アプリ」の決済システムを支え続けます。

 

 

 

東京都水道局

東京都の水道事業として、東京都23 区及び多摩地区26 市町の存する区域を合わせた約1,239 平方キロメートルの区域、約1,370万人の都民に水道水を供給しているほか、武蔵野市、昭島市及び羽村市に対して暫定分水を行っています。

 

東京都水道局アプリ

スマートフォンから簡単・スピーディに水道に関する各種手続きが可能なほか、クレジットカード・Pay系決済での支払いに対応。さらにアプリ内で検針票や使用水量・水道料金に加え、災害時給水ステーション (給水拠点)の場所・ 開設状況なども確認いただけるアプリです。

https://tokyo-waterworks.jp/

 

 

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