契約と決済を電子化。GMOサインペイメントを通じた不動産DXにより管理業務を改善
「世界中の不動産投資を民主化する」を企業理念とし、プロップテック(不動産テック)を推進する株式会社シーラ(以下、シーラ)。同社は不動産業務改善における決済パートナーとしてGMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下、GMO-PG)を選択し、2022年よりGMO-PGが提供するPGマルチペイメントサービスを採用しています。
契約・決済のDXといった先進的な取り組みを行っている不動産会社であるシーラが利用するPGマルチペイメントサービス及びGMOサインペイメントの特長、改善された課題などについてお話を伺いました。
(社名・役職等は2024年5月時点)
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Index
- 不動産開発・販売事業と不動産クラファン事業を中心としたプロップテック企業シーラ
- 事業拡大による入居者の契約更新と更新料受領における業務改善が急務に
- 電子契約とオンライン決済を統合したGMOサインペイメント
- 不動産賃貸のDXで得られた効果と今後の展望
- 自社で不動産DXを推進する際に抑えるべきポイントとは
不動産開発・販売事業と不動産クラファン事業を中心としたプロップテック企業シーラ
まずはシーラの事業概要について、同社を擁する株式会社シーラテクノロジーズ グループ執行役員 CCOである窪 恭平氏に伺います。
「シーラは東京23区および横浜・川崎エリアを対象にした自社開発マンションシリーズ<SYFORME(シーフォルム)>を展開。新築から中古物件の開発、マンション管理までワンストップのサービスを提供することで変化するニーズに柔軟に対応し、優れた立地選定と建築デザインを通じて長期的な安定収益を生み出す“真に価値あるコンパクトマンション”を提供しています」
「また、弊社は、プロップテックを事業内容として多角的に不動産DXを進め、先進的な取り組みを行っている企業です。不動産DXの一例として、シニア向け賃貸マンションが挙げられます。シーラが提供するシニアテックマンションは、最先端のloTを採用したマンションであり、AIスピーカーに一声かけるだけで様々な家電を操作できる他に、買い物ができるなど生活利便性を最大限まで引き出しています」(窪氏)
株式会社シーラテクノロジーズ グループ執行役員 CCO 窪 恭平氏
「加えて、不動産のDXだけでなく、共同代表として日本不動産クラウドファンディング協会を設立、不動産投資業界のイノベーションを促し、地域活性化への貢献や自主規制ルールの策定による健全な市場の育成などに取り組んでいます」(窪氏)
様々な取り組みの結果、シーラが運営する不動産クラウドファンディング「利回りくん」は国内No.1となる会員数27万人以上を達成。また、オンライン賃貸仲介サービス「ietty(イエッティ)」は40万人を超える会員数(2024年5月時点)と、多くの消費者から信頼を得ることに成功しています。
事業拡大による入居者の契約更新と更新料受領における業務改善が急務に
シーラでは事業が大きく拡大し管理対象の物件が多くなる一方で、入居者の賃貸契約の更新、それに伴う更新料収受の業務も増えていくことになります。
更新料収受は不動産管理事業における大きな収益源の一つ。月間の対応件数が増えること自体は喜ばしいことである反面、業務プロセスにおける課題も見えてきた、と語るのは賃貸物件の契約・更新業務を担当するシーラ 今村 菜美氏。
株式会社シーラ デベロップメント本部PM事業ユニット リーダー 今村 菜美氏
「当時社内では、更新時における契約と更新料収受の業務プロセスが切り離されており、覚書締結はしたが更新料は支払われていない、またはその逆のパターンなど、プロセスが完遂していないケースが散見されていました。
毎月平均70件ほど、多い月では150件程度の更新契約が発生しており、それらに関連する多大な業務負荷があるなか、契約更新と更新料収受が片方しか終わっていないと、業務が完了できず後続作業が滞ってしまいます。消込業務などを通じ、どのプロセスが完了していないのかを1件ずつ確認する作業にはさらなる負担がかかっていました。
さらに、入居者様・オーナー様双方と書面を送付してやり取りしていることも負担の一因でした。
書面を郵送するには、契約書の印刷・製本・封入をするなどの作業コストが多くかかります。入居者様の中には解約を希望される方もおられるため、解約に必要な書類の作成をはじめとした多岐にわたる業務にも対応しなければなりませんが、仕事の時間のうち半分程度は更新書面郵送の準備や未完了の項目の確認といった更新に関わる事務作業をしているという感覚です。
事務作業の課題を解決できれば業務コストの大幅な削減が見込めることもあり、その手段の一つとして契約と決済の電子化を検討するようになりました」(今村氏)
電子契約とオンライン決済を統合したGMOサインペイメント
「シーラ様が求める解決策とは、更新契約と更新料収受が一気通貫でできるもの。その要件に合致するものとしてご提案したのが『GMOサインペイメント』でした」と、GMO-PGで不動産業界を担当する営業 小野澤 恵介は当時を振り返ります。
「GMOサインペイメントとは、GMOグローバルサインホールディングス株式会社が提供する電子契約サービス『電子印鑑GMOサイン』での契約締結操作の導線上でそのままクレジットカード等の登録・決済まで完了できるサービスです。契約と同タイミングで決済が完了するため、契約・決済業務の効率化、また未回収リスクの低減が可能となります」(GMO-PG 小野澤)
GMO-PG 小野澤 恵介
このGMOサインペイメントを支えているのが、GMO-PGの総合オンライン決済「PGマルチペイメントサービス」。
PGマルチペイメントサービスはEC事業者のほか、デジタルコンテンツなどの非物販や公共料金など幅広い業種・業態で採用されている決済代行サービスであり、膨大な量の取引や公的機関の決済も支えるセキュアなシステムで安定した決済処理を提供しています。
また、GMO-PGの営業組織ではそれぞれの業界に特化した営業担当が存在し、各業種業態の課題に沿った手厚いフォローで導入から稼働までをサポートしています。
「不動産業界では2022年の法改正により契約の電子化が加速しています。こうした背景をもとに契約と決済をワンストップでご提供するGMOサインペイメントのニーズも増加しています」と語るのは、自身も不動産業界出身であり現場の理解も深いGMO-PG営業担当 鎌田 仁美。
GMOサインペイメントのもう一つの特長はクレジットカード決済のほかに口座振替にも対応していること。
通常は入居者様に申込用紙を記入いただいたものを回収・登録し、振替が実行されるまで1〜2ヶ月程度かかる紙ベースの口座振替に対し、GMOサインペイメントの口座振替ではスマートフォンやPCから入居者様のタイミングで口座情報を登録いただくと即時反映されるので、入金までのタイムラグを最小限に抑えることができます。
GMO-PG 鎌田 仁美
「GMOサインペイメントであれば、契約と決済における業務プロセスの分断という課題が解決でき、さらに契約から決済にまつわる様々な紙での対応を電子化し一元管理していくことが可能です。このようなポイントがシーラ様のニーズにフィットしたことにより導入をご決定いただくこととなりました」(GMO-PG 鎌田)
GMO-PGの営業担当の対応やGMOサインペイメントの使い勝手にも高い評価をいただいています。
「GMO-PGの担当者様からは丁寧なご説明をいただき、弊社の状況を詳しくヒアリングしていただいた上で緻密な導入設計をしてくれました。
システムの新規導入という重要なプロジェクトをスムーズかつ適切に導入できたことには、GMO-PGの担当者様のお力添えが大きかったと感じています。導入後は、GMOサインペイメントのUIもわかりやすく、利用しやすかったです」(今村氏)
不動産賃貸のDXで得られた効果と今後の展望
GMOサインペイメントを導入したことによる業務改善の効果について、今村氏はこう振り返ります。
「契約完了と更新料収受の確認ができたことではじめて更新業務を完了することができます。更新業務がスムーズに完了することにより、賃料交渉等の業務に時間が割けるようになりました。
賃料を上げたくても更新業務が終わっていないと交渉が開始できない状況のなかで、GMOサインペイメントを利用することで更新業務の時間が大幅に短縮され、賃料交渉の時間に当てる時間が確保でき、生産性を向上させることにも成功しました」(今村氏)
リソースの削減に加え、郵送コストの削減や業務スピードの向上についても効果が出た旨もお伺いできました。
「当初、契約書は全てレターパックで郵送していました。GMOサインペイメントの導入により郵送費は半分程度になったと思います。私たちスタッフが宛名を印刷して書類の封入作業まで行っていたため、作業時間も平均一日3時間程度から現在では60分程度と、大幅に削減できました」(今村氏)
入居者様側とオーナー様側、ともに導入による成果も現れている、と今村氏。
「入居者様へはGMOサインペイメントを通じ毎月70件程の契約更新に関する覚書をメール送信しており、8割以上の方とスムーズに契約締結できています。
迷惑メールフォルダに入ってしまった、未開封のままになっている、など契約締結が滞っていることは管理画面ですぐわかりますので、その場合はSMSを通じて再度ご案内しています。SMSで送信することによって以前より反応がよく、覚書締結までのスピードが格段に早くなりました」(今村氏)
締結がスムーズに行えるようになったことで、賃料交渉や入居者対応にさらに時間を割くことができるようになったといいます。
「入居者様は半数以上の方がクレジットカード決済をご選択いただいていることから更新料の決済をすぐに完了できるようになりました。弊社で入金完了後の消込作業を行うまでの時間が短縮されたため、結果としてオーナー様への送金もスピーディに行えるようになりました。
また、GMO-PGからご提案いただいたPGマルチペイメントサービスの早期入金サービスも契約。二営業日後に入金される仕組みを利用することで、オーナー様への早期報告・社内の月次売上計上に素早く対応できている点についても大変助かっています」(今村氏)
様々な観点で業務改善を進めるシーラでは、さらなる展開を検討されているようです。
「グループ企業の各事業を拡大しながら、相乗効果が得られるパートナー企業を積極的に迎え入れるようにしていきたいと思っています。そして、各事業で得られた多様なデータがシームレスに繋がる仕組みを構築し、DXやAIを掛け合わせることでより先進的なビジネスモデルを創造したいと考えています」(窪氏)
「現在は賃貸管理システムで契約者への請求に対して入金消込をする必要がありますが、請求情報への紐づけにはExcelを用いています。こうした部分にもGMOあおぞらネット銀行のバーチャル口座を積極的に活用し、入金や決済を弊社の基幹システムへ即時反映することも検討中です」(今村氏)
自社で不動産業務のDXを推進する際に抑えるべきポイントとは
不動産業界では紙媒体や電話でのコミュニケーションがまだまだ多く存在するなど、DXが遅れているといわれています。
窪氏に不動産業界のDXへの課題と、DXに取り組みたい企業が抑えておくべきポイントに関して伺いました。
「不動産業界では物件確認をファックスでやり取りしている企業もあり、年齢の高いオーナー様からは紙や電話などでのご連絡を求められる場合もあります。近年様々な業界でDXが進んでいるものの、不動産業界内ではネットやデジタルに関する知識が追いついておらず、紙や電話中心のアナログ志向の商習慣が根強いため社内の仕組みが変えられないという課題をよく耳にします。
また、不動産DXそのものへの理解不足も、仕組みを変えられない一つの理由となっているように感じます。
例えばこれまで人手をかけて対応していたある業務を、デジタルツールを通じて負荷を軽減することで、経営側も人を増やさずに該当業務を遂行しながら営業活動に回す時間を創出できます。しかし、不動産業界では、まだまだそれらを実行するための具体的な方法やメリットが理解されていないように思います。
不動産DXに取り組もうとしている不動産会社の多くは、DX推進担当としてITを知らない営業パーソンで組織を構成したり、現場を知らないIT担当者を据えたりしていることが多く、業務理解とIT技術のギャップから失敗してしまいます。
成功のためのポイントは、自社ですべてをやろうとしないこと。
コンセプトを明確にし、GMO-PGのような専門企業などと信頼のおけるパートナー関係になった上で、自社の推進担当者には現場とテクノロジーの調整役を果たしてもらうようにすればDXは実現できると考えます。大胆な意思決定と緻密な準備、設計がとても大切だと感じます」(窪氏)
不動産業界の中には同社のように、不動産DXに果敢に挑み成功している企業もあります。GMO-PGでは変革を志す企業とパートナーになれるサービスを提供できるよう、お客様と伴走し続けていきます。
(左から)シーラ 窪氏・今村氏・GMO-PG 鎌田・小野澤
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株式会社シーラ アセットマネジメント事業として自社でマンション<SYFORME(シーフォルム)>シリーズ・<シニアテックマンション>を開発し販売、高い人気を誇る。同社が運営する不動産クラウドファンディング「利回りくん」は、会員数約27万人(2024年5月時点)と投資家からの支持を得ている。 |